目標17 パートナーシップで目標を達成しよう ターゲット10
国際貿易は各国の発展と貧困削減に欠かせない要素ですが、先進国と途上国の間でルールや交渉力に大きな差があります。
ドーハ・ラウンドの合意をはじめWTO交渉の成果を実際の貿易体制に反映し、公平で差別のないルールを強化することが求められています。
多角的貿易体制は、加盟国が共通のルールに従って物品やサービスを交換し、世界経済の安定と成長を支える仕組みです。
WTOのドーハ・ラウンド交渉では、農産品の関税や補助金の削減、サービス貿易の自由化を通じて、後発開発途上国の市場アクセス拡大が目指されました。
しかし2001年の開始以来、先進国側の保護主義や途上国の交渉力不足により合意形成が遅れ、多くの途上国では輸出品の関税率が依然として高止まりしています。
この状況を打破するには、DDA合意を速やかに実施し、すべての加盟国が同じ条件で貿易できる環境を整える必要があります。
DDA合意の履行を後押しするため、国際社会ではさまざまな支援策が進められています。
貿易促進機関や技術協力プログラムにより、途上国の交渉能力向上を図る研修が各地で実施され、たとえばアフリカ連合ではWTO加盟交渉に向けた専門家研修を展開しています。
EUは混合融資を通じてインフラ関連プロジェクトを支援し、現地企業の関税・物流面での市場参入を円滑にしています。
さらに、オンライン貿易情報プラットフォームが整備され、小規模輸出業者も関税率や非関税障壁の最新情報を手軽に確認できるようになりました。
これらの取り組みは、DDA合意を条文の域に留めず、現場で機能させることで、透明かつ公正な多角的貿易体制の定着に寄与しています。
次回の記事では、ターゲット11について解説していきます。