目標13 気候変動に具体的な対策を ターゲットa
多くの途上国は自国発展のために気候変動に対処できる余裕がなく、温室効果ガスの排出削減という「緩和行動」に対応できません。
そこで先進国が中心となり、年間1,000億ドルを拠出して途上国を支援する必要があるのです。
緑の気候基金(GCF)は途上国の温室効果ガス削減(緩和)と気候変動の影響への対処(適応)を支援するための資金運営を委託された基金です。
集められた資金は緩和と適応に半分ずつ分配され、適応への分配額のさらに半分が後発開発途上国(LDCs)や小島嶼開発途上国(SIDS)、アフリカ諸国といった貧しい国々に割り振られます。
資金支援において優先度が高い分野として、戦略的に次の8つが定義されました。
・緩和分野
①運輸、②ビル・都市・産業・家電、③発電とアクセス、④森林・土地利用
・適応分野
⑤健康維持・食糧・水の安全、⑥住民の生活とコミュニティ、⑦インフラ、⑧エコシステム
GCFの運営は様々な問題により本格的な始動には至っていません。
主な原因は次の通りです。
①先進国と途上国の意見不一致
GCFに対する途上国の期待は高いものの、基金の配分調整を巡り先進国と途上国で軋轢が生まれています。
先進国、途上国の両方が認証機関になる権利を有していますが、国立研究開発法人国立環境研究所の報告書によると、2019年9月時点で承認案件111件のうち77.5%が先進国側の認証機関が提出したもので、資金供給側が主導していると言わざるを得ません。
そのため、途上国のニーズに合致しない案件が採択される、あるいは途上国の需要に合った資金配分がされないといった問題が生じています。
②拠出額の不足
SDGsでは気候変動による途上国の緩和策に対応するために、年間1,000億ドルの資金動員を掲げ、その一助としてGCFを本格始動させることを明記しました。
しかし、GCFによる2015~2018年の拠出額は約83億ドルに留まり、1年当たり20.7億ドルの資金拠出しかできていません。これは年間1,000億ドルの目標のわずか2%です。
2020~2023年の拠出予定額は約98億ドルと初期の実拠出額より15億ドル上回ることが予定されていますが、アメリカの未拠出といった問題があり、他主要国の負担が増加しているのです。
次回の記事では、ターゲットbについて解説していきます。