目標17 パートナーシップで目標を達成しよう ターゲット5
持続可能な成長を実現するためには、特に経済基盤の弱い後発開発途上国(LDCs)に対し、安定的で計画的な投資が欠かせません。
国内資源だけでは社会インフラや人材育成に十分な資金が調達できないため、多様な財源を結集した投資促進枠組みの導入・実施が喫緊の課題となっています。
多くの後発開発途上国は、人口増加や都市化の進展に対し、道路や上下水道、学校・病院など社会基盤の整備が追いついていません。
国内税収や貯蓄は限られ、金融市場からの借入れコストも高止まりしがちです。
たとえば東アフリカの農村地域では、灌漑設備の導入に必要な資金が不足し、度重なる干ばつで農家の収入機会が失われています。
また南太平洋の小島嶼国では、インフラ整備資金の調達に高利の民間ローンを余儀なくされ、返済負担が重くのしかかるケースがあります。
こうした状況を打破するには、政府の財政基盤強化だけでなく、国際社会や民間部門を巻き込んだ包括的な投資枠組みが不可欠です。
国際社会は、後発開発途上国向けに多様な資金チャネルを組み合わせた枠組みを構築しています。
まず、先進国によるODA(公的開発援助)と、開発銀行や多国間金融機関の低利融資を連携させることが基本です。
たとえば、世界銀行の国際開発協会(IDA)は、無利子または超低利の融資で道路や電力網の整備を支援し、同時に民間投資を誘引する条件整備を行っています。
さらに、インパクト投資ファンドやグリーンボンドといった民間資本の活用も進んでおり、持続可能なエネルギーや農業分野への資金が流入しやすくなっています。
地域開発銀行や三角協力プログラムでは、技術支援・能力育成を組み合わせた「資金+技術+人材」パッケージを提供し、各国が自ら資金を運用・管理する力を高めています。
これらの取り組みにより、後発開発途上国は長期的な成長を支えるインフラ整備や産業クラスターの形成が可能となり、「誰一人取り残さない」持続可能な社会基盤の構築へ一歩近づきます。
次回の記事では、ターゲット6について解説していきます。