目標3.すべての人に健康と福祉を ターゲットc
健康的な生活を送るためには医療体制の構築、つまり医療従事者の確保が必要不可欠です。
国や地域別の医療体制には大きな格差があり、それらを無くしていくための取り組みが求められています。
小島嶼開発途上国とは
小島嶼開発途上国とは太平洋・西インド諸島・インド洋などにある、領土が狭く、低地の島国のことを指し、国際連合にて52の国と地域が認定されています。
特徴として、小島嶼開発途上国は小さな島で国土が構成されており、地球温暖化による海面上昇の影響や、少人口、自然災害など島国固有の脆弱性のために持続可能な開発が困難だと言われているのです。
具体例として、小島嶼開発途上国であるモルディブ共和国では、限定された島のみでしか医療体制は整っていません。
病院等での治療を要する場合、救急艇で医療体制が整っている近隣の島への搬送が必要となりますが、同国の救急艇の多くが老朽化や故障等により正常に稼働していないなど、保健医療サービスへのアクセス改善が喫緊の課題となっているのです。
医療従事者不足の影響
医師や看護師等の医療従事者の不足は日本だけでなく、世界的に問題視されています。
特に発展途上にある国での医療従事者不足問題は顕著であり、そういった地域を中心に予防法が確立していない感染症が発生するなど甚大な影響を及ぼします。
つまり、医療従事者の不足の意味には、医師や看護師・医療スタッフの不足だけでなく、現地の人たちに衛生教育をする人材の不足も含まれているのです。
現地の人たちへの衛生教育こそが感染拡大の決め手となるだけに、医療従事者不足は広い意味で人類の存亡さえも左右しかねない大問題であると言えます。
地域別の医療従事者不足状況
2020年の世界保健機構(WHO)が発表したレポートによると、「人口と医師の人数の割合」は先進国と発展途上地域で依然として大きな差があります。
地域別の医師一人あたりに対する人口
アフリカ 3,623人
東南アジア 1,147人
西地中海地域 914人
太平洋地域 531人
アメリカ 353人
ヨーロッパ 232人
上記の通り、子どもや妊婦の死亡率の高いアフリカ地域は、圧倒的に医師の数が足りていません。
地域ごとにも医療格差は大きく、また一つの国をとっても都市部と農村部でアクセスできる医療のレベルが異なるなど、根強い問題が広がっています。
一方で、現地の政府やNGOなどが協業しながら、少しずつ取り組みを進めている国や地域も見受けられます。
実際にアフリカ地域では2014から2019年の5年間で徐々に医療体制の問題が改善されてきています。
以上のように後発開発途上国及び小島嶼開発途上国でも十分な医療体制を確保できるようにする必要があるのです。
次回の記事では、ターゲットdについて解説していきます。