目標6.安全な水とトイレを世界中に ターゲット1
日本では蛇口をひねれば安全な水が使えます。
一方、世界では水道水が汚れており、衛生上身体に危険を及ぼすことから飲み水として利用できない場合があるのです。
2020年時点、世界では20億人が安全に管理された飲み水を使用できず、このうち1億2,200万人は、湖や河川、用水路などの未処理の地表水を使用しています。
飲み水へのアクセス状況は、 2000年以降、世界全体で大きな改善が見られていますが、そうしたアクセスや水質、給水サービスを受けられるかどうかは、地域や収入などによって格差があることもまた事実です。
水は、「きれい」なだけでは十分ではなく、「安全」でなければ、人々の健康を守ることはできません。
池や川の水はほとんどが汚染された水です。
病原菌や寄生虫が存在し、それを含む水を使うことで重篤な病気を引き起こしかねません。
特に知能の発達や身体が未成熟な子どもにとっては取り返しの付かない影響を及ぼす危険性さえあります。
抵抗力の弱い幼児は下痢による脱水症状でも命を落としかねません。
また、紛争が多いアフリカの地域の子どもは特に危険です。
ユニセフの発表によれば、長期化する紛争の影響を受ける国で暮らす子どもたちは、暴力が原因で命を落とすよりも、水や衛生的な環境の欠如により下痢性疾患で命を落とす可能性のほうが高いとされています。
汚染された水によってコレラ、赤痢、A型肝炎、腸チフスなど様々な感染症の伝染を引き起こす可能性もあるのです。
安全な飲料水にアクセスできない現状は衛生面以外にも悪影響を及ぼします。
不衛生な飲み水でも確保するためには池や川へ汲みに行かなければなりません。
日本ユニセフ協会の発表によると、世界全体の29%の人が安全に管理された水を利用できておらず、30分またはそれ以上の時間をかけて水を汲みに行っているとされています。
水汲みは女性や子どもが担い手となることが多く、こうした時間の浪費によって教育を受けられず、貧困の連鎖なども起きてしまっているのです。
本当は学校に通い勉強をしたいという気持ちはあるものの、水汲みのせいで学校を休むことが多く自分の夢を叶えられないという子どもも少なくありません。
きれいな水が飲めないというのは衛生面でも教育面でも重大な問題となっているのです。
次回の記事では、ターゲット2について解説していきます。