SDGsとは

目標1. 貧困をなくそう ターゲット3

目標1. 貧困をなくそう ターゲット3

目標1.あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

前回の記事の最後で、日本国内における貧困対策の社会保障について触れました。

貧困問題を解決するためには、貧困層や社会的弱者を対象とした社会保護制度の拡充が有効な手段とされています。

ターゲット3「各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。」

ターゲット3では貧困者層や脆弱層が充分な社会保護制度を受けられるようになることを目標としています。

ユニセフと国際労働機関は、子どもたちが貧困とその深刻な影響から抜け出すことを助けるためには社会保障制度による保護が必要不可欠であるが、多数の子どもたちが効果的な保護を受けられていないと指摘しています。

また、貧困と脆弱性の悪循環を断ち切るためには現金給付が重要な役割を果たすことも明らかにしています。

世界の子どもの5人に1人が極度の貧困、約半数が中度の貧困の中で暮らしている中、平均してわずか35%の子どもしか給付の対象になっていません。

子どもたちは貧困の影響を強く受けやすいため、各国での社会保障制度の拡充が求められています。

貧困対策となる社会保障制度一覧

社会保障制度は、病気・老齢・死亡・出産・ケガ・失業・介護・貧困などが原因で「国民の生活の安定が損なわれた場合」に、国や地方公共団体などが一定水準の保障を行う制度です。
社会保障制度には3つの機能があります。

  1. 生活安定・向上機能:人生のリスクに対応し、国民生活の安定を実現する機能(医療保険や老齢年金、介護保険など)
  2. 所得再分配機能:社会全体で低所得者の生活を支える機能(生活保護制度、公的年金制度など)
  3. 経済安定機能:経済変動の国民生活への影響を緩和し、経済成長を支える機能(雇用保険制度、公的年金制度など)

さらに社会保障制度の一つとして公的扶助制度があります。

公的扶助制度は国民の健康と生活を最終的に保障する制度として位置づけられ,貧困・低所得者を対象に最低生活の保障を行う制度です。

日本の公的扶助制度

日本における代表的な公的扶助制度として生活保護制度があります。
具体的な内容は以下の通りです。
対象者:生活に困窮する者(年齢制限なし)
給付内容:生活費・住宅費は現金給付 医療・介護はサービス給付
基準設定:全国統一基準※政府が決定※地域差を反映

諸外国の公的扶助制度

諸外国での公的扶助制度について触れていきます。

イギリス
対象者:16歳~59歳
給付内容:生活費は現金給付※住宅・介護・医療は他の制度で対応
基準設定:全国統一基準※法令に規定※地域差なし

ドイツ
対象者:生活に困窮する者(年齢制限し)
給付内容:生活費、住宅費は現金給付※医療・介護は必要なサービスを提供
基準設定:連邦政府は全国標準を示す 州・市は独自の基準を設定※法令に規定

スウェーデン
対象者:18~64歳
給付内容:生活費、住宅費は現金給付※医療・介護は他のサービスで対応
基準設定:食費、医療費相当は全国統一基準 住宅費、電気代相当は各コミューン(市)が設定

アメリカ
対象者:未成年(概ね18 歳未満)の児童、妊婦のいる貧困家庭
給付内容:給付形態(現金給付、所得税額軽減)や給付水準は州によって異なる
基準設定:連邦が基本的枠組みを定め、制度の詳細は州で決定

各国の制度内容からも分かる通り、現金給付制度を設けている国が多い一方で、対象者の年齢幅が様々であることが見て取れます。

また、制度の基準が国内で統一され地域差がない国もあれば、州や市によって基準が異なる国もあります。

そういった地域差をなくしていくことも貧困者層や脆弱層が充分な社会保護制度を受けられるためには必要なのではないでしょうか。

次回の記事では、ターゲット4基礎的サービスへアクセスする平等な権利について解説していきます。

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