目標17 パートナーシップで目標を達成しよう ターゲット12
世界貿易機関(WTO)の枠組みの下で、後発開発途上国(LDC)向けの特恵的原産地規則をわかりやすく透明に運用し、無税・無枠での市場アクセスを恒久的に実現することが求められています。
関税や数量制限などの障壁がなくなることで、LDCの製品がよりスムーズに国際市場に参入でき、産業育成や雇用創出に結びつく効果が期待されます。
特恵的原産地規則は、輸出品が優遇措置を享受するための基準を定める制度です。
LDC製品が関税ゼロで市場参入できるようになることで価格競争力が向上するとされています。
しかし、実際には手続きの複雑さや書類作成に伴う時間・コストの負担が課題として指摘されています。
ある報告では、企業が必要書類の準備に数週間から数か月を要し、その間に商機を逸したケースが見られるとされています。
また、輸出企業と税関との解釈の違いから追加検査が発生し、輸送コストが増大するケースも報告されています。
こうした運用上の障壁を解消するため、オンライン申請システムや明確なガイドライン、税関職員向けの研修強化が求められています。
無税・無枠の市場アクセスを定着させるには、WTO加盟国間の協力と各国の法整備が不可欠です。
先進国では、自国の貿易関連法規を見直し、特恵措置を自動適用できる制度改正を進めている国があります。
EUや日本では、LDC向けに関税適用除外品目を拡大する動きが報じられています。
さらに、貿易支援機関や国際開発銀行は、LDCの中小輸出業者を対象に原産地規則の解説セミナーやワークショップを開催し、実務知識の普及に取り組んでいます。
また、貿易情報ポータルでは、最新の関税率や手続き要件をリアルタイムで提供する仕組みが整備されつつあり、これにより企業のアクセス負担が軽減されると期待されています。
次回の記事では、ターゲット13について解説していきます。