目標17 パートナーシップで目標を達成しよう ターゲット13
世界が直面する気候変動や金融不安、貿易摩擦といったグローバル課題に対し、各国がバラバラの対応を続けると混乱が拡大します。
各国の政策を連携させ、相互に補完し合うことで、為替相場や金利、物価の急激な変動を抑え、持続的な成長を後押しする体制づくりが求められています。
マクロ経済の安定とは、為替や金利、物価などが大きく乱高下せず、企業や家計が見通しを立てやすい環境を指します。
これを実現するには、政府支出や税制を定める財政政策と、中央銀行による金利調整など金融政策が互いに相反しないよう連携し、一貫性を保たなければなりません。
たとえば、経済が失速局面にある際に政府が大型の公共投資を打ち出しても、中央銀行が同時期に過度な金融引き締めを続けていると、資金調達コストが膨らみ、投資効果が薄れてしまいます。
逆に金融緩和を進めても、財政規律が損なわれ過度の財政赤字が続くと、市場の信頼を失いインフレ懸念が高まる恐れがあります。
したがって、各国は国内の政策設計段階から、他国への波及効果を見据えた相互調整を図る姿勢が不可欠です。
政策協調の枠組みとしては、G20やAPECのような首脳・財務相会合を通じた合意形成が代表例です。
これらの場で各国は経済見通しや政策課題を共有し、相互レビューによって調整すべき点を浮き彫りにします。
たとえば、アジア開発銀行(ADB)やアフリカ開発銀行(AfDB)は、域内中央銀行と財務省を対象としたワークショップを定期開催し、為替管理や債務管理の専門家研修を実施してきました。
また、国際通貨基金(IMF)主導の「共同政策モニタリングプログラム」では、加盟国が四半期ごとに経済・金融指標を提出し、必要に応じて政策調整の助言を受けられる仕組みが整っています。
さらに、気候変動と経済政策を連携させる「グリーンファイナンス」では、複数国が協調してグリーンボンドの発行基準を統一し、持続可能な投資を促進しています。
こうした国際協力の枠組みは、各国が単独で政策を運用するよりも大規模な波及効果を生み、世界全体のマクロ経済安定に寄与するものです。
次回の記事では、ターゲット14について解説していきます。