目標17 パートナーシップで目標を達成しよう ターゲット14
持続可能な開発を進めるうえで、異なる分野や部門が個別に政策を実施すると、矛盾や非効率が生じる場合があります。
政策立案段階から環境保全、経済成長、社会福祉などを横断的に調整することで、相乗効果を生み出しやすくなると考えられます。
政策一貫性とは、政府が策定する経済、環境、社会保障、教育など多様な分野の政策目標や手法が互いに矛盾せず、共通のビジョンに沿って効果的に機能する状態を指します。
たとえば、森林保護を目的とした規制を強化しながらも、同時にバイオマス発電の燃料として木材を過剰に需要する政策を同時に進めると、環境目標が損なわれかねません。
現実には、担当省庁間の情報共有不足や法令の重複、優先順位の違いなどが原因で政策が食い違うケースが多く見られます。
また、短期的な景気刺激策と長期的な気候変動対策が対立すると、将来世代への負担が増大するリスクもあります。
こうした課題を解消するために、政策策定の初期段階から関係者を横断的に巻き込み、影響評価を行いながら整合性を図ることが重要です。
政策一貫性を強化するために、各国では官民連携のフォーラム設置や法体系の見直しが進められています。
たとえば、欧州連合(EU)では「持続可能性影響評価(SIA)」を法律で義務化し、新規規制が経済、環境、社会に与える影響を包括的に分析したうえで調整を図る仕組みを運用しています。
さらに、アジア開発銀行(ADB)や国連開発計画(UNDP)は、加盟国向けに政策統合評価ツールを提供し、省庁横断チームによるワークショップを開催しています。
国内では、気候変動対策と産業政策を統合する「グリーン成長戦略」を策定し、関係するすべての行政機関が参画する協議会を常設する例もあります。
これにより、脱炭素化や資源循環といった環境目標と、雇用創出や地域振興といった社会経済目標が両立しやすい政策体系が構築されつつあります。
今後は、これらの枠組みをさらに普及させ、地方自治体レベルへの展開や市民参加のプロセスを強化することが求められます。
次回の記事では、ターゲット15について解説していきます。