目標17 パートナーシップで目標を達成しよう ターゲット6
持続可能な開発を支えるのは、社会課題を解決する最新技術の力です。
しかし多くの開発途上国では研究費や人材が不足し、せっかくのイノベーションに触れる機会が限られています。
この技術格差を埋めるには、北南協力、南南協力、そして三角協力といった多様な連携の枠組みを通じて、知識やノウハウを分かち合うことが欠かせません。
世界の研究拠点や資金は先進国に集中し、開発途上国の大学や研究機関は設備不足に悩まされています。
たとえば、アフリカでは実験機器の不足から優秀な学生が海外へ流出する「頭脳流出」が深刻化しています。
南南協力も枠組みが不十分で、国同士が互いの成功事例を共有する機会が限られています。
その結果、地域特有の農業技術や公衆衛生ソリューションが生まれにくく、住民のニーズに合ったイノベーション開発が停滞しています。
また、国際機関が提供する研修や技術プラットフォームへの参加手続きが複雑であることも、途上国側の参画を遠ざける要因となっています。
各地では連携強化の動きが具体化しています。
欧州連合(EU)の研究プログラム「Horizon 2020」では、アフリカと共同で再生可能エネルギーの実証実験を展開しています。
現地スタッフへの技術研修をセットにし、自前で運用・維持できる体制を構築しました。
インドとブラジルの南南協力では、公衆衛生データを相互に共有する取り組みが進み、感染症対策の精度が向上。
三角協力では、日本・ASEAN・国連が協働し、ICTを活用した「スマート農業推進プロジェクト」を実施。農家自身がスマホで収量予測や病害管理を行い、生産性が高まりつつあります。
こうした例をさらに広げるには、各協力スキームをつなぐプラットフォームの整備やオンライン研修の普及が鍵です。
制度や手続きの簡素化を進めながら、あらゆる国がSTIの恩恵を享受できる環境を整備していく必要があります。
次回の記事では、ターゲット7について解説していきます。