SDGs取組事例

木造による大規模空間を実現した新社屋<br>CO2を“しまう”環境配備型構造が描く未来

木造による大規模空間を実現した新社屋
CO2を“しまう”環境配備型構造が描く未来

三賀株式会社

静岡県浜松市にある機械工具総合商社「三賀株式会社」が、新たな木造の社屋を完成させました。鉄骨造が当たり前とされるオフィス建築において、木造による大規模空間を実現した建物は、CO2削減や省エネ性能に加え、社員の働きやすさや地域貢献を両立した環境配備型オフィスです。

新社屋

鉄骨から木造へ―発想の転換が生んだ新しい社屋
建て替えを検討した当初、同社は鉄骨造の社屋を想定していました。しかし、設計事務所「ケイ・テック」から、50畳規模の大空間でも木造建築が可能だとの提案を受け、木造を選択しました。専務の杉浦理之さんは「地域への貢献や社員さんの働きやすさ、またこれからの環境に配慮していくためには木造こそ最適だと感じた」と振り返ります。老朽化や手狭さへの対応だけでなく、若手人材の採用や働きやすさの向上も決断の背景にありました。

CO2を固定しながら快適性を高める建物
新社屋は延床面積458㎡。LVL工法を採用し、外断熱や木質繊維断熱材を組み合わせることで快適な温度環境を実現しました。使用した木材により約112.9tのCO2を固定し、鉄骨造と比べて建設時のCO2排出量をおよそ3分の1に削減しています。木造建築そのものが「CO2をしまう」仕組みとなり、環境負荷の低減に貢献しています。

また、屋根散水による気化熱利用や太陽光発電と蓄電池の活用、ルーバーを用いた自然通風など、建物全体で自然エネルギーを取り入れています。さらに、地下水利用や衛星通信スターリンクの導入により、災害時にもライフラインを確保できるBCP体制を整えました。環境への配慮と同時に、有事にも強い社屋としての機能を兼ね備えています。

新社屋

働く人の健康と成長を後押しする空間づくり
照明には、自然光に近いリズムで色や明るさを変化させる「サーカディアンリズム」を取り入れ、従業員の健康と集中力を支えています。「もともと風通しの良い社風ですが、完成後は社員同士のコミュニケーションがさらに増え、モチベーションも高まっているように感じる」と杉浦さんは笑顔で話してくれました。オープンな空間は若手社員の成長や定着を後押しし、社内の雰囲気をより前向きに変えるとともに、新しい人材が加わることへの期待も生み出しています。

新社屋

地域に開かれ、未来をつくる新しい拠点
新社屋は社員だけでなく地域や業界からも注目を集めています。視察や見学に訪れる人も増え、今後は環境教育やSDGs学習の拠点としても活用する予定です。「ただの事務所ではなく、地域や社員に開かれた場所にしたい」と杉浦さん。三賀の新社屋は、地域と環境と人を大切にしながら、持続可能な未来を描く企業の姿を体現しています。

SDGs達成を通じた取組み

目標7

エネルギーをみんなにそしてクリーンに

目標11

住み続けられるまちづくりを

目標13

気候変動に具体的な対策を

企業情報
企業名
三賀株式会社
本社地
静岡県浜松市中央区佐藤1丁目38-20

https://sanganet.jp/

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