

静岡県浜松市浜名区三ヶ日町を拠点に、マリン事業や海洋教育事業を展開する有限会社シップマン。青少年の海洋体験活動(県立三ケ日青年の家の運営)や水辺の安全啓発指導などを行う「社会教育事業部」と水難事故で活躍するプロペラの無いJet船外機付き救助ボート、大学ヨット部等のレスキュー艇製造の「ボート事業部」の2事業を主に展開しています。
代表取締役の城田守さんは、もともとヤマハ発動機のマリンエンジン事業部に勤務していました。長年、海や船に関わる仕事に携わる中で、「もっと身近に海の魅力を伝えたい」との思いが強くなり、平成15年に独立。同社を立ち上げました。
創業当初から主力事業として取り組んできたのが、釣りなどで利用される「免許不要艇」の販売です。誰でも気軽に海や湖を楽しめるミニボートを普及することで、地域のマリンレジャー文化を支えてきました。
また、同社は国土交通省中部運輸局管轄の「海の駅」の事務局も担ってきました。海の駅は、マリンレジャー利用者の休憩や情報発信、防災などの役割を持つ水辺の交流拠点です。水辺を安心して利用できる環境づくりにも関わりながら、地域の海洋インフラを支えてきました。

そうした活動を続ける中で、城田さんが強く感じるようになったのが、水辺の安全教育の必要性でした。2010年、静岡県立三ケ日青年の家で発生した水難事故により、体験活動に訪れていた中学生が命を落とす痛ましい事故がありました。城田さんはこの事故を通じ、水辺での有事に備えた体制や教育の不足を痛感したといいます。
その後、周囲からの後押しもあり、2014年から同施設の管理運営を受託。施設管理に加え、自然体験活動や海洋教育を通じた子どもたちの受け入れにも取り組んでいます。
城田さんは「マリンジャーナリスト」としても活動しており、水難事故防止の啓発活動にも力を入れています。特に伝えているのが、「浮いて待て」という考え方です。水難事故に遭った際、無理に泳ごうとすると体力を消耗し、命を落とす危険性があります。ライフジャケットを着用し、浮いた状態で救助を待つことが重要だとして、講演や指導の場で繰り返し呼びかけています。

2022(令和4)年11月には、「浜名湖海洋少年団」を立ち上げました。これまで浜名湖周辺には海洋少年団がなく、地域の子どもたちが継続的に海や湖について学べる環境は限られていたといいます。同団では、カヌーやボート体験などを通じて海洋の魅力を伝えるだけでなく、水辺の安全教育も行っています。ライフジャケット着用の重要性や、水難事故から命を守る知識を次世代へ伝える場にもなっています。
日本では水難事故が後を絶たず、浜名湖周辺も事故が多いエリアの一つだそうです。城田さんは「日本の水辺の安全意識は、諸外国と比べてもまだ遅れている部分がある」と話します。「まずはライフジャケットを着用する文化を広げていきたい」と城田さん。

海や湖に囲まれた地域だからこそ、水辺を楽しむだけでなく、安全について学ぶことも重要です。有限会社シップマンの取り組みは、水辺の安全を未来へつなぐ活動として、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」にもつながっています。
目標14
海の豊かさを守ろう