

浜北商工会(静岡県浜松市浜名区)が、地域ブランド「はまきたブランド」の第1回登録事業者の募集を開始しました。地域の魅力を持つ商品やサービスを認定し、地域全体の価値の向上につなげる取り組みです。
今回の大きな特徴は、応募条件にSDGsへの取り組みが盛り込まれている点です。小規模事業者が持つ地域密着型の強みを生かしつつ、SDGsの視点を取り入れることで、社会的評価の向上や新たな顧客層へのアプローチにつながり、地域の魅力を発信しながら新たな事業成長を目指す狙いがあります。
小規模事業者は、大企業のような規模や資本では勝負できない一方で、地域に根差し、お客さまと直接つながることができるという大きな強みを持っています。「顔の見える関係性」や「人に会いに行く価値」は、地域ブランド形成において重要な魅力です。
浜北商工会では、この強み引き出す手段としてSDGsに着目しました。社会課題の解決や持続可能性への取り組みは、消費者の意識変化とともに評価の対象となっており、事業者が自らの活動をSDGsの視点で整理することで、信頼の獲得や共感の広がりにつながります。
同商工会副会長でブランド事業の発起人でもある井口恵丞さんは、小規模事業者がSDGsに取り組む意義を次のように語ります。
「小さな取り組みでも、自分たちの強みや地域とのつながりを俯瞰して見つめ直すきっかけになります。SDGsは、大きな目標ではなく、“自分たちの事業が社会とつながる視点”として活用してほしいと考えています」
例えば、飲食店が地元食材を積極的に取り入れることは、地域資源の支援につながると同時に、食の安心・安全や環境への配慮というSDGsの要素を内包しています。地域イベントへの協賛や参加も、地域社会に貢献する取り組みとして評価されます。このように、日常の延長線上にある取り組みが、SDGsの視点を通じて地域の価値として認知されることで、結果としてブランド力の向上につながっていきます。
ブランドのキャッチコピーは、はまきたの頭文字より「跳(は)ねる 交(まじ)わる 期待(きたい)のまち」。地域の象徴である「竜」をモチーフとしたロゴは、浜北地域3大まつりの1つ「飛竜祭り」のシンボルとともに経済の成長と未来への飛躍を表現しています。認定はゴールではなくスタートと位置づけられ、認定後には勉強会・交流会・展示会などを通じて商品やサービスのブラッシュアップを継続的に支援します。井口さんは、「ブランドづくりは地域全体で価値を高めていくプロセス。事業者同士が学び合いながら成長し、浜北地域の未来をつくる仲間になってほしい」と話します。
「はまきたブランド」は、単に売れる商品を選ぶ制度ではなく、地域とともに成長していく事業の価値を可視化する仕組みです。SDGsを意識することで、自社の強みや社会的役割を見つめ直す機会となり、結果としてマーケティングの視点が育まれます。こうした視点は、事業の魅力をより明確に伝える力となり、ブランドとしての発信力につながります。
小規模事業者の取り組みは、一つひとつは小さく見えるかもしれませんが、SDGsという共通の視点でつながることで大きな光となり、浜北地域全体の価値を高める原動力になります。持続可能な未来に向けた歩みそのものが「地域の魅力」として発信されていくことこそ、このブランドの大きな意義です。
・募集期間:2025年10月1日~11月28日
・審査:2026年1月
・認定式:2026年2月
・対象者:浜北商工会会員、コワーキングスペース「イトリエ」会員、浜北地域の事業者・住民
・応募条件:SDGsへの具体的な取り組みがあること