

明治屋醤油株式会社は、1875(明治8)年に創業した浜松市浜名区の醤油醸造会社です。150年以上にわたり醤油づくりを続け、現在は醤油をはじめ、ソースや味噌などを製造・販売しています。
同社の商品の一つ「蔵出し醤油」は、自社農園で育てた大豆と小麦を原料に使っています。自社栽培を始めたのは、取締役の野末将平さんの祖父に当たる先代社長。「自分たちで責任を持って育てた原料を使いたい」という思いから、1990年代に浜北地域で栽培を始めました。
農園では、化学肥料や農薬を使わずに大豆と小麦を栽培しています。当時、醤油業界では原料を脱脂加工大豆から丸大豆へ切り替える動きが広がっており、同社もその流れを受けて丸大豆を使った醤油づくりへ移行しました。これを機に自家栽培にも取り組み、水はけが良く小麦を育てやすい地域の特性を生かしながら、原料の栽培から醤油の製造までを自社で手がけています。

同社がSDGsにつながる取り組みとして力を入れているのが、醤油を搾った後に残る「しょうゆ粕」の再利用です。しょうゆ粕は一般的に産業廃棄物として処分されますが、同社では地域の畜産農家や養鶏農家と連携し、堆肥や飼料として活用しています。
しょうゆ粕の一部は、地元の牧場が引き取り、堆肥にしています。同社はその堆肥を仕入れ、自社農園で大豆や小麦を育てるために使用。醤油づくりから生まれた副産物が牧場を経て畑に戻り、再び醤油の原料を育てる循環が生まれています。
また、別のしょうゆ粕は、都田地区の養鶏農家で鶏の飼料として使われています。そこで生産された卵を同社で販売するなど、捨てられるはずだった資源を地域の中で生かす関係づくりにもつなげています。

こうした取り組みの背景にあるのは、同社が昔から大切にしてきた「使えるものは使う」という考えです。野末さんは「SDGsを意識して始めたというより、以前から続けてきたことが、結果としてSDGsにつながりました」と話します。
同社は2025年から、自社農園の面積を約2倍に拡大しました。今後は、大豆や小麦以外の作物の栽培にも挑戦し、しょうゆ粕を生かした堆肥の可能性を探りながら、農業事業にも力を入れていく考えです。
原料を育て、醤油を造り、製造過程で生まれた副産物を地域で循環させる明治屋醤油。代々受け継いできたものづくりの知恵を、持続可能な農業と地域連携へとつなげています。
目標12
つくる責任つかう責任
目標15
陸の豊かさも守ろう
目標17
パートナーシップで目標を達成しよう