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マイクロファイナンスの代表事例「グラミン銀行」について

マイクロファイナンスの代表事例「グラミン銀行」について

SDGsの解説コーナーでマイクロファイナンスに触れましたが、マイクロファイナンスとは開発途上国の貧困層に対して小口の融資を行い、企業やスキルアップによる就職など経済的自立につなげる金融サービスのことです。

マイクロファイナンスの具体的な事例の一つに「グラミン銀行」があります。

今回の記事ではグラミン銀行について解説します。

グラミン銀行とは

グラミン銀行とは、バングラデシュに存在する民間銀行のことで、マイクロファイナンスを行っている機関です。

グラミンというのは、「村」を表すベンガル語(gram)に由来しており、その名が表す通りグラミン銀行が行う活動は全て農村中心です。

グラミン銀行は大飢饉による貧困層への支援を目的にバングラデシュのダッカを本部とし、1983年にムハマド・ユヌスによって創設されました。

当時、農村地帯に暮らす貧困層の人々は、高金利で高利貸しにお金を貸してもらい、返せなくなって一層貧困に苦しむことになるという悪循環に陥っていました。

それを目にしたムハマド・ユヌスが、お金をわずかに持ってさえいれば、たくさんの人々が貧困状態から抜け出すことができると考えて、マイクロファイナンスを作り出したのです。

つまり、グラミン銀行が行っているマイクロファイナンスとは、貧しい暮らしをしている人々にお金を貸して、貧困状態から抜け出すための支援手法であると言えます。

グラミン銀行の特徴

グラミン銀行では、貧しい人へ貸したお金をしっかりと返してもらうことを可能にする仕組みが存在しています。

お金を借りたいと希望する人には、貸付金をもらうために5人で構成されるグループを形成しなければなりません。

そして、そのグループのメンバー相互間で、しっかり返済が進むように確認し合うという仕組みになっているのです。

メンバーは毎週センターミーティングを開いて連帯責任のスキームの下借りたお金を返済します。

この手法はグループレンディングと呼ばれ、返済率は平均98%に達しており、貧困者が自立できる環境作りを目指しています。

グラミン銀行が評価され、創始者のムハマド・ユヌス氏は2006年にノーベル平和賞を受賞しました。

2017年、グラミン銀行は日本にも進出。貧困のひとつの解決策として注目されています。

グラミン日本について

グラミン日本はグラミン銀行の日本版として2017年に設立されました。

グラミン日本でもグラミン銀行と同様に貧困状態にある人々に低金利・無担保で少額の融資を行っています。

この融資によって起業や就労の準備資金とし、貧困状態から脱却して自立することが支援の目的です。

グラミン日本の資本は「グラミンアメリカ」を参考に7億円を目途としており、「寄付・基金・賛助会員会費・クラウドファンディング」などによって資金を調達しています。

このグラミンアメリカではすでに約10年の間に約12万人を支援対象にして12.4億ドルの融資が行われており、それに関連して12万件を超える雇用が創出されるなど大きな成果をあげているほどです。

このグラミンのシステムは先進国、開発途上国を問わず世界中で取り入れられています。

グラミン日本の融資である「グラミン・ローン」を受けることができる対象者には以下のような規定があります。

  • 日本の貧困ライン以下の生活困窮者であること。
  • 働く意欲があり生活をステップアップしたい人であること。
  • 互助グループ(5人一組)を作ること。

融資される資金は消費されていく生活資金に使用することはできず、
起業や就労によって所得を創出することができるものに対してのみ融資されます。

グラミン日本は、働く意欲はあっても今はお金がない方々に融資と起業・就労支援をワンセットで提供し、融資の後にも毎週のセンターミーティングでグラミン日本のスタッフがフォローアップを行います。

起業した方には経営のアドバイスを、また、就労を目指す方には就労支援を行うなど、顔の見えるコミュニケーションを行います。融資を受けたメンバー間は励まし合いながらローンを返済し自立を目指します。

こうした活動によって、貧困のない社会を作ることを目指しているのがグラミン日本なのです。

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